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【公開セミナーレポート】CVCのグローバル事業開発の成功法〜M&Aと新規事業開発の秘訣を解説

6月15日、東京神谷町で「CVCのグローバル事業開発の成功法」をテーマにしたセミナーを開催し、新規事業・経営企画担当者に向けて、M&Aと新規事業開発、そしてCVCに関する最新のトレンドと成功事例を紹介しました。


◆セミナー詳細・イベントページ:


本セミナーでは、イスラエルのAI特化VCファンドAtlacleのジェネラルパートナーを迎え、CVC事業におけるイスラエル成功事例から「イスラエルのスタートアップエコシステムの特徴」、「グローバル市場でのCVC戦略の構築方法」、「財務リターンと事業シナジーの両立方法」等事業開発最前線の知識を紹介し、現地でのベンチャー投資の最適なアプローチについて解説しました。



◆イスラエルの基本情報&投資エコシステム

イスラエルは面積約2.2万平方キロメートル、人口約950万人の国で、ユダヤ人が約74%、アラブ人が約21%を占めます。公用語はヘブライ語で、宗教はユダヤ教が主流です。


  1. ハイファ:コンピュータサイエンスや工学分野で先端研究を行うテクニオン大学があります。IntelやGoogleなどのグローバル企業のR&D拠点が集積し、半導体やハードウェア関連のスタートアップが多いです。

  2. ベエル・シェバ:セキュリティと農業関連スタートアップが盛んで、ベングリオン大学があります。サイバーセキュリティの研究開発においても世界的に有名で、IntelやPayPalのセキュリティR&Dセンターが置かれています。

  3. レホヴォト:ワイツマン科学研究所があり、バイオや生理化学研究の最先端拠点です。Johnson & Johnsonや武田薬品などが関わるインキュベーション拠点があります。

  4. テルアビブ:IT系スタートアップが多く集まり、AppleやGoogle、Microsoftなどのグローバル企業のR&Dセンターも集中しています。



イスラエルのエコシステムは、テルアビブが世界第5位のイノベーション都市として評価されており、シリコンバレーに次ぐスタートアップ企業数を誇ります。高いGDP成長率とハイテク産業の発展が特徴です。

  1. 投資パフォーマンス:イスラエルでは、2023年10月からの6ヶ月間で220件の投資が行われ、総額3.1Bドルの投資が実施されました。

  2. セクター別投資件数と投資額:ヘルステック、エンタープライズSaaS、セキュリティテックが主要な投資セクターで、それぞれ47件、42件、39件の投資が行われました。特にセキュリティテックには1.1Bドルが投資されています。





◆M&Aと新規事業開発の戦略


1. GoogleとWaze

GoogleがWazeを買収した事例では、コミュニティベースのリアルタイム交通情報がGoogle Mapsに統合され、ユーザー体験が向上しました。この買収は、Googleの地図サービスにとって戦略的なリターンをもたらしました。


2. IntelとMobileye

IntelがMobileyeを153億ドルで買収した事例では、自動運転技術の強化により市場リーダーシップを確立しました。Mobileyeの先進運転支援システム(ADAS)および自動運転技術がIntelのスマートモビリティ戦略に統合されました。


3. SalesforceとClickSoftware

SalesforceがClickSoftwareを13億5000万ドルで買収した事例では、フィールドサービス管理ソリューションがService Cloudに統合され、モバイルワークフォース管理とカスタマーサービス運営の能力が向上しました。




セミナーでは、新規事業開発の成功の鍵についても詳細に説明されました。特に、イスラエル企業の技術力とその活用方法が重要視されました。


1. 技術統合の重要性:M&Aの際には、買収先企業の技術をいかに自社の製品やサービスに統合するかが鍵となります。具体的には、リアルタイムデータの活用や新技術の導入が企業競争力を大幅に向上させます。


2. 戦略的リターンの追求:単なる財務的リターンだけでなく、戦略的リターンを追求することが重要です。これには、企業の長期的なビジョンと一致した投資判断が求められます。




CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)は、大企業が新規事業開発や技術革新を促進するための重要な手段です。セミナーでは、イスラエルのCVCの成功事例がいくつか紹介されました。


1. クアルコム・ベンチャーズ

クアルコムは、イスラエルで数多くのスタートアップに投資しており、その多くが成功を収めています。例えば、MobileyeはIntelに153億ドルで買収され、その技術は自動運転市場で重要な役割を果たしています。


2. インテル・キャピタル

インテルは、イスラエルでの投資活動を通じて、先進的な技術を自社の製品ラインに統合し、競争力を高めています。特に、サイバーセキュリティやAI、フィンテック分野での投資が注目されています。


3. CVCの投資目的と成功の鍵

CVCの投資目的は、ストラテジック・リターン(戦略的リターン)とファイナンシャル・リターン(財務的リターン)のバランスが重要です。CVCは企業の成長戦略と直接結びつく投資を行い、企業内のリソースや事業機会を活用してスタートアップの成長を支援します。




◆今後の展望とまとめ

セミナーを通じて、イスラエルの投資エコシステムとCVCの重要性が再確認されました。企業が持続的な成長を遂げるためには、技術革新と戦略的パートナーシップが不可欠です。Aniwoは、クライアント企業の成長を支援し、新たなビジネスチャンスを創出するために引き続き尽力していきます。





◆講演者のプロフィール

土居 隆之 | Atlacle Partner

早稲田大学を卒業後、HSBCにて法人営業を担当。その後、テック特化のブティック系M&Aアドバイザリーに参画し、米国・英国のフィンテック・セキュリティ企業の日本進出を支援。日本人初となるイスラエルのテルアビブ大学でMBAを取得し、現地フィンテック企業で事業開発と法人営業を担当。


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