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Sharing Economy最前線 — Pitch Tokyo #9 (2018–2019) Sharing Economy Event Report



イスラエルのイノベーション最新動向をお伝えするAniwoの旗艦イベント、Pitch Tokyo。2019年2回目となる今回のテーマは、Sharing Economy。今回はガイアックス株式会社様の運営するNagatacho GRiDのイベントスペース『SPACE 0』をお借りし、開催したイベントのパネルディスカッションの様子をお伝えする。



シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービスです。

モノ、スペース、スキル、時間… あらゆる資産を共有する「シェア」の考えや消費スタイルが日に日に広がりを見せています。



イベントでは日本のシェアリングエコノミー業界を牽引する企業から有識者を招待し、パネルディスカッションを行った。


パネリストは以下の方々で、モデレーターはAniwo, SVP of Biz Dev 松山が務めた。


左から宮川氏、猪瀬氏、中村氏、峯氏

Q1 ユーザーを増やすためにしていることは何か。


松山:では、ecbo株式会社の猪瀬さんからお願いします。


猪瀬氏:弊社の運営する『ecbo cloak』は「荷物を預けたい人」と「荷物を預かるスペースを持つお店」をつなぐシェアリングサービスです。利用者を増やすためには、まずサプライ(供給)側のユーザー数が重要だと考えています。

ecbo株式会社 執行役員・猪瀬 雅寛氏

もともと、旅先でコインロッカーが見つからず、途方に暮れる“コインロッカー難民”を1人でも減らしたいと考えてサービスを開始したので、利用者候補はたくさんいました。しかし、サービスの提供を開始しても、(サプライ側のユーザーが少ないため)なかなか解決されない状況が続きモヤモヤとする時期がありました。利用者を増やすためには、それに耐えながら、地道にサプライ側のユーザーの充実を進めていく必要があります。


松山:なるほど、有難うございます。では、株式会社スペースマーケットの中村さんはいかがでしょうか?


中村氏:『スペースマーケット』は一般的な部屋などはもちろん、オフシーズンの球場や平日の結婚式場などのあらゆる遊休スペースを1時間単位で貸し出すWebプラットフォームを運営しています。そして、多くのユーザーに利用していただくために、スペースを利用した体験を提案するという施策を行っています。

株式会社スペースマーケット プロデューサー・中村 友哉氏

例えば、もうすぐ花見の季節が始まりますが、今までの花見は屋外で行うことが一般的でした。

しかし、花粉症や寒さなどの問題もあるので、桜の見えるスペースで行う「インドア花見」というものを新たに提案したりしています。

提案する際は、スペースのホストと一緒に特集を組み、自社のオウンドメディアで記事を公開します。


松山:そうなんですね。

では、株式会社ビザスクの宮川さんはどうですか?


宮川氏:『ビザスク』はスペシャリストのもつビジネスの知見を、新規事業や業務改善のヒントを求める企業へつなぐスポットコンサルというサービスを提供しています。

株式会社ビザスク 事業法人部 オープンイノベーション推進室 室長・宮川 晶行氏

B2Bサービスなので、toC向けのサービスと比べると少し特殊ですが、やはりサプライ側のユーザー数が重要だと感じます。

最近はそんなこともないのですが、前は依頼を受けた企業のニーズに合わせて、その知見をもつ人を自分で探して、ビザスクに登録してもらってから紹介する、というような泥臭いこともやっていました。



松山:足で稼いで少しずつ伸ばしてきたんですね。では、株式会社ガイアックスの峯さん、よろしくお願いします。


峯氏:ガイアックスでは『TABICA』『notteco』『Tadaku』といったシェアサービスを提供していますが、やはりホストが少ないとサービスの運営ができません。

株式会社ガイアックス 開発部 ブロックチェーン担当マネージャー・峯 荒夢氏

ですので、弊社はホスト獲得を地道にやってきました。

ホストは特徴的な経歴や趣味を持ってる場合が多いので、そこに対してアプローチをしました。

また、一方で利用者も増やす必要があります。そのために、プラットフォーム側としてゲストに良いサービスが提供できるようカスタマーサポートのお手伝いもしています。


松山:なるほど、確かにプラットフォームとしての手伝いはリピート率にも関わってきそうです。


猪瀬氏:複数回の利用に繋げるためには、サプライ側の体験、つまりオペレーションが簡単であることが大切だと考えています。

サプライ側は大抵は本業を持っているので、その本業を邪魔しない、むしろ加速させることを心がけてサービスを設計しています。実際に『ecbo cloak』では、荷物を預かる側は写真を一枚撮るだけという手軽さで店舗側の負担軽減を図っています。


松山:確かに、サプライ側の体験も大事ですね。私は以前某カーシェアリングサービスで車を貸したところ、傷がついて帰ってきました。それ以降使っていません。


猪瀬氏:プラットフォームという運営形態上、責任を負うことはできませんが、だからと言ってカスタマーサポートを怠ると離脱率が大幅に高まるので、できる範囲でのサポートは徹底しています。


中村氏:私たちは2回目以降の利用に繋げるために、利用者の体験がより良くなる環境を整備するようにしています。清掃がきちんとされているかだったり、Web上でスペースの説明が充実しているかだったり。それを仕組み化し、評価が高いスペースを優先的に検索結果に表示するアルゴリズムを用いています。


宮川氏:ビザスクにおける2回目の利用に関するハードルについては、実際に企業側の知りたいことにサプライ側がどこまで答えられるかわからない、という問題があります。それを減らすために、事前に質問リストを投げるシステムを整備したり、スクリーニングをしっかりしてサプライ側の質を担保しています。



Q2 海外展開についてどのように考えているか。


松山:シェアリングエコノミーのサービスは、地域にフィットするサービス設計が重要だと思いますが、いかがでしょうか。


猪瀬氏:ecboはもともと海外展開を見据えて事業を行なっています。なぜなら他の国で使えないというのは、ユーザーにとって不便だからです。

実際にecbo cloakは日本だから成り立つビジネスだと言われることも多いですが、そこはテクノロジーの見せ所だと考えています。国によって、預かりのサービスの基準も異なりますし、観光地の分散度合いも異なるので、そこに対応する必要があると考えています。


松山:そうなんですね。では実際に進出する際は、まずどの国に進出したいと考えていますか?


猪瀬氏:台湾か香港が、ユーザー数や地理的に魅力的だと思います。


松山:なるほど。では中村さんはどうでしょうか?


中村氏:スペースマーケットが海外展開するにあたり、利用者の利用モラルや、不動産の利活用促進や掲載獲得など、ハードソフト両方の観点から課題が多いのは事実です。

また、欧米はもちろん、東南アジアにも競合がたくさん出てきているので、法律、宗教や言語の壁を超えたサービスの構築にはまだまだハードルが高いと感じます。

ただ、将来的には海外進出はしたいと考えています。

個人的にはマレーシア。周辺国含め人口が増加しつつ英語が使えますし、平均所得も上がってきています。そして土地的なポテンシャルもありそうなので、とても注視している国です。


松山:マレーシア、いいですね。宮川さんはいかがですか?


宮川氏:ビザスクはもともと海外志向です。日本ではそうでもないですが、海外は転職がとても活発なので、サプライ側のアドバイザー候補はたくさんいると考えています。ですので、データベースがあれば海外進出の可能性は高いです。

一方で、グローバルの競合に対してどう差別化していくかを課題に捉えています。


松山:峯さんはいかがでしょうか?


峯氏:ガイアックスの運営するサービスについては、最近海外でも類似のサービスが多く生まれてきています。なので、敢えてそういった環境で海外に進出したいかと言われると、まだ未定という答えになります。

弊社ではむしろ、海外からのインバウンド旅行客にいかに利用してもらえるか、という点に注力したいと考えています。



参加者からの質問:海外の注目しているシェアエコサービスとは。


中村氏:私は、以前ニューヨークに行った時に利用した『eatwith』というサービスに注目しています。このサービスは、ホストが自分のダイニングをレストランにできるというサービスで、利用者はメニューを選んで、ホストの家に指定された時間に行くと、地元の人の作った様々な料理を楽しみながらお喋りできるというものです。

その時は金額は結構かかりましたが、とても楽しい時間を過ごすことができました。


猪瀬氏:私は最近ニュースにもなった『OYO』に注目しています。OYOはソフトバンクビジョンファンドが投資するインド発のホテルベンチャーです。

私がOYOに日本市場で期待しているのは、古民家や空き家の活用ですね。海外のOYOの登録宿には大々的な看板が立っているらしく、その看板があるホテルは一定の質を担保されているということがわかる、という点がサービスの売りです。


宮川氏:私は、『Quora』という知識のシェアリングサービスに注目しています。ビザスクは、テキストベースの回答サービスはやっていないのですが、そういったニーズがあることが近頃証明されつつあるので、是非参考にしたいサービスです。




峯氏:私が注目しているのは、インドの『Drivezy』というカーシェアサービスです。

インドでは車を所有できる人があまりいないという環境の中で、車の共同購入とシェアを同時に提供するというサービスです。

面白いと思ったのは、各個人が車を所有するという段階を経ずに、シェアリングエコノミーにそのまま移行している点です。今後も注目していきたいと思っています。


松山:なるほど、とても興味深いお話です。それでは、そろそろお時間になりましたので、これにて終了とさせていただきます。

宮川さん、猪瀬さん、中村さん、峯さん、本日はお忙しい中ご登壇いただき有難うございました!


(拍手)



パネルディスカッション終了後には、登壇者の周りに多くの参加者が列を作り、シェアリングエコノミーに対する参加者の興味の高さをうかがい知ることができた。


次回のPitch Tokyoは「Digital Health」をテーマに開催する。※会場、コンテンツ調整中。公式Peatixにてチケット販売予定。



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Aniwoのイベントから更なるイノベーションが創出されることを祈っている。


文責・編集:Aniwo本間

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