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Digital Healthへの意識を改革せよ !— Pitch Tokyo #10 (2018–2019) Digital Health Event Report



イスラエルのイノベーション最新動向をお伝えするAniwoの旗艦イベント、Pitch Tokyo。2019年3回目となる今回のテーマは、Digital Health。今回はCreww株式会社様の運営する神谷町のコワーキングスペース『dock-Toranomon』をお借りし、開催したイベントのパネルディスカッションの様子をお伝えする。

イベントページ:https://pt10digitalhealth2019.peatix.com/



Digital Healthとは、医薬品をより個人に最適化されたものにするためのデジタルテクノロジーとヘルスケアとの融合のことを言います。

イスラエルでは、スタートアップを中心に多くのライフサイエンス系企業、医療機器・ヘルスケアIT等の企業が存在しており、政府としても”National Digital Health Plan”を策定するなど、サイバーセキュリティに続き「デジタルヘルス」を国家戦略の中核に掲げ、テクノロジー開発、データ研究等を推進しています。



イベントでは日本のデジタルヘルス業界の有識者とスタートアップを招待し、パネルディスカッションを行った。


パネリストは以下の方々で、モデレーターはAniwo, SVP of Biz Dev 松山が務めた。


左から、小野瀬氏・上村氏・冨士川氏・坂井田氏

【登壇スタートアップ紹介】

  1. Icaria株式会社:Icariaの使命は、尿検査による「痛みのない高精度ながん早期診断」の実現です。がんは早期に発見することで、患者の生存率が5~10倍に上昇し、予後も大きく改善することが知られています。Icariaはこの技術によって、人々ががんで命を落とすことのない、新たな社会の構築を目指します。

  2. AuB株式会社:我々の強み、それはアスリートと共に腸内フローラの研究を行うことが出来ることです。アスリートと一般の人の腸内フローラにどのような違いがあるか。我々は多くのアスリートから便サンプルを提供してもらい、研究を行っています。また日々更新されるアスリートの腸内フローラ研究の結果を基に、食生活改善などのコンサルティング業務も行っています。


トピック1 日本のヘルスケア関係者に一言!


松山:例えば病院や厚生労働省に対し、日本のDigital Health業界で活動する上で感じる、忌憚のない意見をください。では、DMM. make AKIBAの上村さんからお願いします。


上村氏:私は、経済産業省主催の「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2018」にてグランプリを受賞した株式会社mediVRの代表とお話しする中で感じたことを紹介します。

DMM.make AKIBA / 上村氏

ご自身も医者であるmediVRの代表曰く、医者の中ではビジネスやお金儲けなどを行うことはタブーとなっているため、そういった点での文化的な衝突は絶えないそうです。例えば、mediVRの代表が先端医療に興味を持ってトライをしても、同じような考えを持つ医者が少ないため、なかなか普及しにくかったり、そういった状況を変えようと論文を出しても響かなかったり…。こういった状況は、社会をより良くしようと考えているスタートアップにとってはとても厳しい環境だと思います。ですので私は、果たして本当に伝統的な文化を保持する必要があるのか、もう一度問い直してほしいと伝えたいです。


松山:なるほど、有難うございます。では、AuB株式会社の冨士川さんはいかがでしょうか?


冨士川氏:私は、一般消費者の方の健康に関する意識の低さがとても気になります。

AuB / 冨士川氏

私たちは特にアスリートとの接点が多いため、相対的にそう見えてしまうのかもしれませんが、アスリートは非常に具体的に“摂取したい栄養”・“理想の筋肉量”・“適正体重”など明確な目標を持っている一方、一般消費者は“漠然と健康になりたい”というような曖昧な目標しか持っていません。

その中でも、一般消費者に弊社の腸内細菌分析技術を用いた食生活改善などのサービスが普及するように努力をしていますが、健康に対する意識の低さから来る難しさを感じています。


松山:そうなんですね。では、Icaria株式会社の小野瀬さんはどうですか?


小野瀬氏:一般消費者の健康に関するリテラシーについて、私も検査結果に対するリテラシーが足りていないと感じています。

Icaria / 小野瀬氏

AuBさんはウンチを解析するということでしたが、Icariaはオシッコを解析します。今後Digital Healthのサービスを普及させるためには、一般消費者を積極的に啓蒙していき、健康に関するリテラシーを高めていく必要があると思います。

これはヘルスケア業界全体としてすぐに取り組んでいかないといけない課題だと思っていますので、それを伝えたいです。


松山:有難うございます。ではアクセンチュアの坂井田さん、お三方の意見を踏まえてどう感じていますか。


坂井田氏:はい。お三方のお話には、私としても同意する部分が非常に多いです。

アクセンチュア / 坂井田氏

医者のビジネスへの意識の低さという点に関して。私の知り合いにもいるのですが、開業医の先生によってはそれまでお金儲けを考えてこなかった方が多いと感じます。保険の点数自体は大差がないものの、例えば患者用ベッドの回転率だとか、“効率に対する意識”が低いと感じる瞬間が多いです。

そして、一般消費者の健康に関するリテラシーが低いという点に関して。私は特に薬学の知識が足りないと思う瞬間も多いです。海外では、薬の成分表をしっかり見比べて買っているなという印象を抱くのですが、日本では成分表を全く見ずに買っている方が多いのではないかと思います。もっと薬学的なリテラシーが一般に普及してもいいのではないかと感じますね。


冨士川氏:そうですね。私も、現在の日本では、誰が言ったかということが重要視されていると思います。

健康に対する意識が高いアスリートでさえも、たまにどこのものかよくわからないようなサプリを摂取していたりすることもあり、誰々に勧められたから〜というようなことに影響を受けやすいなと感じました。


Aniwo / 松山

小野瀬氏:そうですね。我々のように医療系の業界にいる人は論文の有無なども気にしますが、一般消費者は論文の有無など全く確認しません。CMなどを重視していると思います。


松山:イチローがユンケルのCMをやっているから買う、みたいなことですね。


小野瀬氏:はい。誰が太鼓判を押すかは一般消費者にとって最も大事だと考えています。


松山:なるほど、有難うございます。では次のトピックに参りたいと思います。


トピック2 注目している技術 or スタートアップは?


松山:では、コミュニティマネージャーとして様々な技術やスタートアップと接しているDMM.make AKIBAの上村さんに伺いたいと思います。


上村氏:はい。こちらも先ほどの経済産業省主催のコンテストで優秀賞を受賞した企業なのですが、OQTA株式会社という鳩時計を作っているスタートアップです。

なぜヘルスケアのコンテストで鳩時計を作っている企業が優秀賞をとったのか、不思議ではないですか?

DMM.make AKIBA / 上村氏

このスタートアップのコンセプトは「孤独をなくす」というもので、この企業の作る鳩時計は時間は伝えません。では何が起こるかというと、遠く離れた場所にいる家族や友人などがスマートフォン上でボタンをタップすると、鳩が出てきて1秒だけ鳴きます。

最近のコミュニケーションは、チャットに既読機能が標準でついていたり、双方向的なやりとりが強制されていると感じるのですが、この鳩時計は「あなたのことを気にしています」ということを一方通行で送るのみなのです。

たったこれだけのことですが、人々の心理的な健康を促進するサービスとして、“薬では治せない”ヘルスケアという新しいストーリーを作りました。


この例は、ヘルスケア業界の今までのやり方を見直すという話にも繋がりますし、一見ヘルスケアには関係ない領域を突き詰めるのも面白いという示唆を私たちに与えてくれます。


松山:有難うございます。とても良いサービスだなと思います。では、時間も限られていますので、最後にAuBの冨士川さんお願いします。


冨士川氏:時間もないので手短になりますが、技術ということで言えばベンチャーの物作りを支えるOEMの製造会社に注目しています。

彼らはとにかく製造までのスピード感が早い。企業など大規模な主体がモノを売っていた時代に比べて、最近はYoutuberなど影響力がある個人がモノを売る時代になってきていると感じています。

同一商品の量産型ビジネスが縮小する中で、小規模な商品製造へのニーズにアジャストできるサービスとして注目しています。



松山:なるほど、とても興味深いお話です。それでは、そろそろお時間になりましたので、これにて終了とさせていただきます。

小野瀬さん、上村さん、冨士川さん、坂井田さん、本日はお忙しい中ご登壇いただき有難うございました!


(拍手)



パネルディスカッション終了後には、登壇者の周りに多くの参加者が列を作り、Digital Healthに対する参加者の興味の高さをうかがい知ることができた。


次回のPitch Tokyoは「FinTech」をテーマに4/9(火)に今回同様dock-Toranomonにて開催する。

イベントページはこちら



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Aniwoのイベントから更なるイノベーションが創出されることを祈っている。


文責・編集:本間

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