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2018年上半期イスラエルスタートアップ投資トレンド

本稿では2018年上半期におけるイスラエルハイテク企業への投資トレンドについての考察をまとめる。国別に比較した投資額で、世界第3位であるイスラエルのハイテク企業に対する投資は依然として世界中から注目を浴び、成長を続けている。結論から述べると2018年Q2は、2016年のQ2に次いで過去6年間で2番目に資金調達額・取引数が多い期間となり、盛り上がりをみせた。
2018年上半期投資額・取引数
2018年Q2では、合計調達件数は170件にのぼり、総計16億1000万ドルが調達された。上半期総計としては、過去最高となる32億ドルの調達がされた。(2017年Q2に比べ2018年Q2は+27%)
IVCの調査結果によると、2018年Q2では、ベンチャーキャピタル(VC)による取引は94件にまで減少し、総取引件数の55%だった。VCと非VC(エンジェル投資家など)による取引金額の比較については下記表1をご覧いただきたい。

最も特徴的な傾向としてあげられるのは、Landaによる3億ドルの資金調達により、非VCが総資本の48%にまで上昇したことである。

棒グラフ=調達額 単位(thousands dollar) 折れ線グラフ=取引件数(社)
ーRound別比較ー
RoundA企業の調達実績は、Q2において総計39件の取引で2億ドルが調達された。
一方で、ミディアムレンジラウンド(RoundB&C)企業は、47件の取引で8億5700万ドルが調達し、総資本の53%を占めた。
Landaによる大型調達の影響により、RoundCが総資本の26%を占める結果となった。
ー業界別比較ー
業界別に比較すると近年急成長しているAI(人工知能)業界が全体の資本シェアのうち26%だった。
例年に続きライフサイエンス企業への注目度は高い傾向にある。取引数は39件にのぼり、総額としては2億6700万ドルになった。加えて、ソフトウェア企業は資金調達をリードしており、取引数、総額ともに最も多くをしめる65件と5億8400万ドルになった。
2018年上半期における業界別の資金調達額、取引件数については表2をご覧いただきたい。

世界中から注目が集まるイスラエルハイテク企業であるが、近年の傾向としては中国からの投資と欧州からの自動運転技術に関心のある投資家からの注目が増している。
9月第1週目にはスタートアップの祭典DLDも行われ、各国から投資家など多くの方が集い、例年盛り上がりをみせる。
年々投資額の増えるイスラエルは2018年下半期も目が離せない。
(次回の記事では2018年上半期におけるExitに関するレポートを寄稿する)
編集者:Associate 藤田健斗

【参考資料】