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院卒者のキャリア論 ~AX Seminar #3 レポート後編~

9/10(火)に当社が開催するAX Seminarの第3回目として「院卒を活かした起業、グローバルに輝く研究者という選択」を実施。Zoomを使ったオンラインイベントで参加者は20人近くにのぼった。院卒者という枠組みで語られることの少ないキャリア論。今回は、様々なレイヤーの最前線で活躍する方々をお呼びし、それぞれのキャリアの方向性について語って頂いた。今回は後編!

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今回の登壇者一覧

◆イベントタイムライン◆

20:00 開始

20:00-20:15 登壇者自己紹介

20:15-20:45 パネルディスカッション 

20:45-21:15 テーブル毎の座談会

21:15-21:30 全体質疑応答 

スタートアップにおけるアカデミアの知見の活用法、自身のキャリアなどについて多方面からディスカッション頂いた。

前編はこちら

後編は、パネルディスカッションの続きからお送りする。(以下敬称略)

1:学問とビジネスの両立の必要性はあるのか?知識と実務の関連性は如何に。

寺田:MBA不要論とか言われてますが、結論、役立ったなと思います。まず良かったことは、網羅的にファイナンスや経営管理の話などを学ぶので仕事で不明点ができた時にどの引き出しから引き出すか、が分かったことですね。

 一方、今のビジネススクールは大企業の経営に特化している部分が大きいので(もちろんベンチャーファイナンスの授業などはあるのですが)スタートアップ的な部分は経営してみないとわからないことでした。

 でも大学院で会った方からのお仕事を頂いた部分もあるので、ネットワークが広がるのが一番良かった部分ではありました。

遠野:僕は化学で試験管振っていた系なので直接的に役に立ってはいないのですが、仮説検証の論理の立て方やその見せ方、パワポや提案書の作り方からプレゼンテーションの仕方まで求められるクオリティが学部生よりも大学院生の方が大きく役に立ちましたし、指導して頂いた先生方に大変感謝をしています。研究内容というよりも、実務的な面でのクオリティが高くなったのが大学院に行っていた自分の利点です。

池上:基本的には寺田さんと同じですね。でもあえて海外MBAの違いを言うと、英語やダイバーシティの違いの中でどのように動いていくかといった部分は学べたな、と思います。ケンブリッジは200人の学生が50ヶ国から来ていたような状況だったので、基本的にグループワークは多国籍な環境が当たり前でした。

 国籍だけじゃなくてバックグラウンドも医者や弁護士出身、はたまたマーケティング出身などバラバラだったので、その中でどのようにチームを動かしていくのか、信頼を勝ち取っていくのかという点を学べたのは良い経験でした。

田坂:僕はこの質問にはキャリア上答えることができないのですが、、(笑) 僕の周りは製薬会社やコンサルに就職した人が多かったのですが、まず論文書く上で課題設定とアプローチを考える事は必須なので、それは直接ビジネスにも役立っていると思います。

 あとは研究がビジネスとの親和性の高い人たち、例えばcomputational系の人は実務になることを学んでいるしアカデミアから離れても働き口がある、という部分で役立つことはあると思います。

2. 事業売却の裏話


ー事業売却のお話をお聞かせ頂けますか?

遠野:(京セラグループに売却を行なった)Ristの話をすると、事業はディープラーニングを用いた目視の自動化で傷がどこにあるのかをAIを用いて認識する、というソリューションの提供です。当時社員5名インターン生20名のメンバーで着々と仕事をしていました。製造業・医療で実績を上げていくうちにお客様が増えていった感じです。

 僕の中では社長としてIPO(上場)するというのがゴールではなく、その時々に世の中に求められていそうな役に立つサービスや実験を使命感を持って生み出し続けたい(Exographなど)と思っていました。一方で10年、20年も安定したお付き合いを前提とする製造業領域のRistで別の事業を行うことはステークスホルダーへご迷惑をお掛けすることになりかねないと思い、引き継ぎ先を探していました。

 そして最終的にちゃんとした体制がなされている大手さんと一つになった、という経緯です。実は珍しいケースなのですが、売却前にも上記の自分のモチベーションを含めて社員にM&Aの件を事前に相談をしていたこともあり今も当時の社員は引き続き活躍していますし、京都で100名くらいの規模になっています。

3. 研究職に合う人、合わない人とは


寺田:脳科学ってめっちゃビジネスでもホットな話題じゃないですか、イーロンマスクとか。


田坂:そうですね、ニュースにもなってましたね。


遠野:田坂さんのキャリアは割とアカデミアクラスの理想じゃないですか、そうじゃない道を選んだ方々も周りにおられると思うのですが、その道に行かなくて良かった悪かった点などはあったりしますか?

田坂:明らかにアカデミアを抜けて良かったと思う人は、分野にもよりますが自分ではゴリゴリ実験したくない人ですね。ヘブライ大の時にいたのですが、めっちゃ賢いけどハードワークはポリシーとしてしない院生の友人がいたんですね。彼はエリート街道を歩んできた数学に優れた人だったんです。

 僕らの研究は生物が相手だったので、いくら数学ができたり、プログラミングがかけても最終的にはひたすら実験しないと結果が出ない研究分野でした。彼は泥臭く実験することを好んでいなかったので、データがなかなか出てこず苦労していたように思います。最終的に彼はサイバーセキュリティ系の方にヘッドハントされてエンジニア部隊のヘッドになってとてもハッピーそうでした。

ちなみに僕らがやっていたのは神経科学といってもかなり生物学よりの基礎研究で、先ほど出てきたイーロンマスクのニューラリンクのような脳科学とは違うかもしれないです。イーロンマスクの言っているブレインマシンインターフェースはスタートアップと一番親和性が高いと思うのですが。つまり、脳内に電極を埋め込んでその電極を自身で操作することで念じれば体が動くみたいな拡張脳みたいなものですね。

 僕らのやっている研究はより基礎的で泥臭く実験をやるいわゆるウェット系で、僕自身は実験をやるのが好きなので、たとえ企業でも雇われて実験を行なっていく方が合っているのかな、とは思いますね

4. 人間関係もキャリアパスの重要検討項目のうち

寺田:今回の登壇者はかなりキャリアパスが一般とは異なる方々とは思うのですが、とりあえず行動して、発信していくと周りにも助けを頂けるよ、という解に池上さんとなりました。遠野さんはどうですか。


遠野:そうですね、やっていく中で自分の心の声に従った時に合わないと思ったら軌道を変えてみる、惰性で続けないことは大切かもしれません。


田坂:自分のやりたいことは何か、自分の幸せとは何か、と考える時間は大切ですね。博士のときはあまり満足のいくような研究、モチベーションもそうですし、結果としても満足のいくものではありませんでした。その時に指導教官との師弟愛、一緒に仕事をしたいと思える人と行いたい思いを強く感じたので、次のキャリアパス、研究室を選ぶときには「何をやるか」もそうですが「誰とやるか」に注意して選びました。

寺田:人生有限なので人間関係が合う合わないも大事ですよね。


田坂:自分にとって誰が合うか合わないかは人それぞれなので、自分の感性に従うのはとても大事だと思います。知人があの人良いよ、と言っていたとしても自分にとって良いかどうかはわからないので、そういう意味で「自分は何を求めているのか」などは常に考えた方がいいかなとは思いますね。

5:やりたいことはなるべく早く、"いつか"は来ないかも知れない

ー私は女性なので結婚出産を将来のキャリアパスに入れて考えるようにしているのですが、皆さんは自分のキャリアの中で生活資金を貯めるなど生活とのバランスはとっておられるのですか?


遠野:自分は今9ヶ月くらいの子供がいて、今まではあまりそういったことは考える機会が少なかったのですが、最近はよく考えるようになりました。

田坂:僕は結構考えましたね。イスラエルには単身で行ったので。イスラエルにこのまま居たら結婚できないと思ったので日本に帰国しました。


寺田:男女関係なしに大胆な経験、決断が出来るのは20代前半かなと思いますね。


遠野:気づいたらコロナで海外も行けなくなってしまってあれよあれよといううちにいつかやろうが出来なくなってしまうかも知れないですよね。


寺田:確かに。いつかじゃなくて、今やろうということですよね。


池上:難しいですよね。もっと早くリスクテイクしておけば良かったなあと思っている部分もありつつ、結局connecting the dots的で分からないですからね。色んな経験が今繋がっている部分もあるのでその時々でそれなりに意思決定をしてきたつもりではあるのですが。

寺田:そうですね。まとめると、その時々で自分の心に従い、やれる事を精一杯やって周りの人を大事にすると、その点と点がいつか繋がる、という事ですね。


ー丁寧にまとめてくださいましてありがとうございます。(伊藤)

6. まとめ

 今回は、大学院を出て様々なキャリアパスを経た多種多様な方々にお話を伺った。研究畑でも起業側でも、文理問わずやってみてからの軌道修正が十分可能であるから、とりあえずではあれど自分の心に従ってやってみることの大切さ、実行力の重要性を感じたお時間であった。

 今回のイベントは、大学院後のキャリアとして、研究職だけでなくスタートアップ分野で活躍したい人を応援すべく、行われたAniwoオリジナルセミナーである。このイベントの延長として、新規事業のリファラル採用アプリ、『Axelnode』をスタート。独自チケットを通じ、採用ポストを他者に紹介出来る仕組みを構築し、企業と専門人材のマッチングを加速させ、よりイノベーティブな社会の実現を目指す。

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 また、興味のある企業担当者様は、是非お問い合わせフォームよりご連絡ください。

次回のAX Seminarは10月28日に『IPOに強い税理士が語るIPO攻略法』をテーマに開催します。金融業界志望者は必見です!

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Aniwoのイベントから更なるイノベーションが創出されることを祈っています。

文章:伊藤