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5G時代を見据えて — Pitch Tokyo #12 (2018–2019) 5G Event Report



イスラエルのイノベーション最新動向をお伝えするAniwoの旗艦イベント、Pitch Tokyo。2018-2019シーズンの最終回となる今回のテーマは、5G。今回は株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ様の運営する共創スペース『ドコモ・イノベーションビレッジ』にて開催したイベントのパネルディスカッションの様子をお伝えする。


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「5G」とは、2020年以降の超高度情報社会に向けて、現行のLTEシステムと比較して100倍の伝送速度、1000倍の大容量化といった飛躍的な性能向上を達成しつつ、多種多様なサービスをサポートすることを目指して、ドコモをはじめとする通信キャリア各社が研究開発を進めている次世代移動通信方式です。 ※出典=docomo5Gホワイトペーパー



イベントでは日本の5G産業を牽引する以下2名の有識者を招待し、パネルディスカッションを行った。



モデレーターはAniwo, SVP of Biz Dev 松山が務めた。

左から、長谷川氏、松田氏

トピック1. 『5G時代に最も相性が良い領域は何か?』


松山:まず始めに、5Gと最も相性が良い領域は何か、という点について松田さんにご意見をお伺い致します。


松田氏:私は、5Gのように今から立ち上がるという黎明期の技術においては、考えなければいけないポイントして、その技術がユーザーに提供する価値がNice-to-haveのものなのか、Must-haveのものなのか、という点が重要であると思います。

松田氏

5Gだからこそ顧客に提供できる価値のキーとなる技術としては、低遅延であるとか消費電力の少なさが重要となり、その技術の活用先として最も注目されるのはモビリティ系でしょう。

中でも自動運転や無人運転においては5Gのようなリアルタイム性が絶対に必要となります。


もう一つ注目される分野としては物流系、特にドローンです。ドローンは現在様々な領域で実証実験されていますが、モバイル通信が載っているドローンは殆どありません。理由としては、ただでさえ電池が保たなく飛距離が不足しがちなドローンにモバイル通信を載せるとさらに飛ばなくなってしまうからです。

その課題に対し、電力を使わないリアルタイム性を持つ5Gの技術を活用すると、リアルタイムでVRを見ながら長距離をコントロールできるような世界観が生まれると考えられます。私は、この2つはユーザーにとってMust-haveな価値を生み出される領域であり、確実に我々の社会を良くする技術ですので要注目であると思います。


松山:有難うございます。では、長谷川さん如何でしょうか。


長谷川氏:5Gの大きな特徴として、①高速大容量 ②低遅延 ③多数端末接続の3点があります。弊社では、5Gの商用サービス開始に向けパートナープログラムに取り組んでいるのですが、一番早く興味を示して頂いた業界が実は放送業界で、高速大容量と低遅延を生放送等で利用されたいというご意向を沢山頂きました。

YouTube等のSNSの発達への対抗として、コンテンツを強化することは勿論ですが、やはり映像配信の精度においても力を入れられています。


5Gのもう一つの特徴である多数端末接続という面では、工場での利用に高いニーズがあります。工場では、全体的に随分前に製造された機械を長く使っており、IT化が遅れているケースが多いことが特徴に挙げられます。そのため、3Gや4GのタイミングでIoT化を導入するよりは、5Gのタイミングで入れた方がコストパフォーマンスが高いため、今後どんどん工場が見える化され、機械の自動制御や製品の質の向上、量産化が可能になるなど、一気に変化していく業界であると私は思います。


笑顔を見せる長谷川氏、松田氏

松田氏:また、弊社では現在、福岡を実証の場としてスタートアップがもつ最先端技術の実証事業を企画・推進するスマートシティ・インキュベーションプログラム、「Open Network Lab FUKUOKA」を運営しているのですが、このように地域を巻き込んで新しいテクノロジーの活用を推進していく場合、実証実験が非常に重要な意味を持ちます。

例えば、自治体と共同で5Gを活用したスマートシティの推進を掲げても、急に5Gを搭載した新しいモビリティーが公道を走り始めると、市民は非常に動揺を受けます。

実証実験は、技術的な実証実験であるとともに、段階的に都市に導入し露出することで市民が段々と理解し、市民の意識を作っておく、という点で非常に重要です。

現在は総務省始め色んな自治体がスマートシティの推進に名乗りを上げていますので、5Gで街を変えていこうという意識が各地方からも醸成されており非常に面白いフェーズだと思います。



トピック2. 『注目している技術orスタートアップは?』


松山:では、次のトピックに移らせて頂きます。5G関連で、お二人が注目している面白いテクノロジーだったり、5Gと相性が良いのではないかというスタートアップがあれば教えて下さい。

松山(モデレーター)

松田氏: 私は、5GでVRがまた盛り上がるのではないかと思っています。

特に産業用VRですね。例えばドローンを目視外の遠隔で人が操縦しようとすると、やはりVRが必要になってくる。今までなぜそれができなかったというと、映像の遅延があった。5GになるとVRに耐えうる伝送もできるため、産業用途でVRが利用され始めると思います。但し、遅延は5Gで解決できるものの、VRの持病ともいえる操作と映像の微妙なズレによるVR酔いが課題となってきます。

そこで私が注目しているスタートアップはSynamonです。

Synamonは、自分が動かした動作とVRの中の動作に遅延がなくVR酔いを起こしにくくする技術を開発している会社になります。その技術をゲーム開発会社等に提供していらっしゃるのですが、VRが産業界で活発に利用され始めると、このような技術は一層ニーズが高まるのではないかなと思います。


松山:なるほど、VRが復活するということですね。長谷川さんは如何でしょうか。


長谷川氏:今のお話はまさにその通りだなと思っています。我々は、数百人規模のお客さんに集まって頂き、パートナー企業の商材を展示するイベントを実施しているのですが、その中でもやはりXR (=VRやARの総称) が大人気ですし、それは法人向けにも同様です。そのため、私としてもVRは間違いなく復活すると思います。

そんな中で私が注目するスタートアップは2つあって、1つ目は我々のビジネスキャンプにも参画頂いている企業であるクレッセントという会社で、こちらでは360度から撮影可能な技術を持っています。今はYouTubeもYouTuberが撮った角度からの画像しか見れませんが、このような撮影技術が活用されると、見る側の角度も変えることが可能になります。

そこで何が起こってくるかというと、例えば小学校の運動会のダンスや部活動の練習の際に、参考にしたいYouTube動画を360度自分の好きな角度から勉強するということが今以上にできるようになると考えられます。

今はエンタメ系が多いYouTubeも、もしかすると教育・勉強のようなジャンルも拡大していくのではないかと思っています。

長谷川氏

2つ目に注目している分野はMaas業界です。最近ニュースで多く取り上げられている高齢者の運転による非常に残念な事件などを技術で解決できると非常に良いと思うんですね。

高齢者はただ買い物に行きたかっただけであり、だったらそれを自動運転で出来るようにする、という世界に早くなってほしいし、そういう5Gを早く作っていかなくてはいけないと思います。

そこで私が個人的に応援しているスタートアップが、CREWというライドシェアサービスです。日本では、タクシー免許の関係でいわゆる白タクであるUberが参入できないという現状なのですが、そこをCREWでは支払いは実費(ガソリン代・高速代)と手数料に任意の謝礼のみを支払うという法律の網目をかいくぐったビジネスモデルを組み立てていらっしゃいます。

私はこういうスタートアップがあることは非常に大事だと思っており、併せて法律も早く変わっていき、我々の生活が便利になれれば良いなと思います。



参加者からの質問『今回の総務省による5Gの電波の割り当てにおいて、「ローカル5G」は通信においては非常に新しい流れだと思いました。ローカル5Gはこういう用途で利用されるから全国の5Gとは棲み分けられていて属性が違うなど、キャリアであるドコモさんから見ていかがでしょうか?』


松山:ご質問有難うございます。では、こちらの質問へは長谷川さんにお答え頂きます。


長谷川氏:最近新聞等でも目にするようになったローカル5Gですが、簡単に言うと5Gの電波の周波数帯を携帯電話会社以外にも割り当てるということでして、現在では、パナソニックさんやNECさんが参入を表明しています。ローカル5Gについては、私個人としてもキャリアとしても良い取り組みだと思っています。

例えばメーカーさんの工場でいうと、やはり広い土地が必要なので比較的郊外に建設されているケースが多くなります。我々キャリアとしても、郊外に電波塔を建てるとなると、そこで本当にペイするのかということを考えながら建てなければいけなかったので、会社さんの判断で自分たちで建てることが可能になることは、キャリアにとってもプラスになりますし、日本にくまなく5Gが普及されるという面では良い取り組みだと思います。


松山:なるほど。では最後に、長谷川さん、松田さん参加者の皆様にメッセージを頂けますでしょうか。


長谷川氏

長谷川氏:我々ドコモは、5Gで世の中を変えていきたいと思っています。キャリアが中心という時代は終わってきていますし、我々もそれを自覚し始めています。

これからより一層、パートナー企業様をご支援し一緒に新しい価値を作って行きたいと思いますので、5Gはキャリアと一緒に考えることで面白いことが出来るぞ、ということを覚えていて頂けると幸いです。


松田氏

松田氏:現在、本当に色んな地方自治体が自分たちのフィールドを生かして実証実験を行っており、そこにドコモさんのような大企業が最新の技術を持ち込んで共同で実証実験するということが各所で行われていて、すごくいい流れが来ていると思います。

数年後、地方から多くのものが生み出されていくと思いますので、是非地方の動きにも注目して頂ければと思います。



松山:とても興味深いお話でした。それでは、そろそろお時間になりましたので、これにて終了とさせていただきます。

長谷川さん、松田さん本日はお忙しい中ご登壇いただき有難うございました!


(拍手)



次シーズンのPitch Tokyoは8月より毎月開催予定です。


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Aniwoのイベントから更なるイノベーションが創出されることを祈っている。


文責:桃井 編集:本間

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