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世界のR&D拠点イスラエルの最新DeepTech | Pitch Tokyo -Israel Edition- #3 (2019-20)

最終更新: 2019年11月25日



イスラエルのイノベーション最新動向をお伝えするAniwoの旗艦イベント、Pitch Tokyo。2019-2020シーズンの第三回目となる今回のテーマはDeepTech。今回はWeWork アークヒルズサウスにて開催したイベントのパネルディスカッションの様子をお伝えする。

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ディープテック(DeepTech)

「最先端の研究成果」という意味で使われる言葉で、人工知能(AI)やロボット、通信、半導体、宇宙・航空工学や地上の移動体、ゲノム、ライフサイエンス、素材化学など、いま最も注目される研究領域の意味合いが含まれている。基本的には長いR&Dが必要であり、商用アプリケーションに到達するまでに時間がかかるため、多くの場合、商業的成功を達成するために大規模な投資が必要となる。



イベントでは日本のDeepTechに理解の深い羽根田様と、イベントに参加していたところ飛び入りで登壇していただいた原様の2名に登壇していただき、パネルディスカッションを行った。

モデレーターはAniwo, Head of Japan 執行役員 事業開発担当 松山が務めた。

左から、原氏、羽根田氏

(以下敬称略)


松山:はじめに、原さん簡単に自己紹介をお願いします。


:日経ビジネスという雑誌で副編集長をしている原と申します。実は2019年9月に出版した『ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」』(尾原和啓、丸 幸弘著)という本に私は編集者として携わり、その関係でイベントに参加していました。

日経ビジネス副編集長 原氏

元々は、2016年に日経Fintechを創刊して2019年4月まで編集長をしてました。その後日経ビジネスに異動してスタートアップ担当となり、DeepTechに興味を持ちました。

今年の5月頃に『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』という本の著者の尾原和啓さんから、シンガポールから電話がかかってきて、「今東南アジアでめちゃくちゃおもしろいムーブメントが起きている」と。

また、ある動画サービスで配信している『日経STARTUP X』という番組で私が司会進行を担当した会があり、そこでリバネスの丸さんと出会いましたがその番組で丸さんが語っていた内容が尾原さんが熱く語っていた話と全く同じで、もともとその二人が知り合いだったということもあり本を書くことになりました。

こちらかなり熱量を込めて作った本でして、なんと最初の打ち合わせから約1ヶ月後には出版しました。


松山:ありがとうございます。では早速パネルディスカッションを始めたいと思います。



トピック1.『DeepTech領域の定義とは?またその面白さは?』


松山:私からは質問を2つ用意してきました。まず1つ目は、ご自身でどのようにDeepTechを定義しているかということと、DeepTechの面白さについて、(会社としてではなく)個人の所見をお聞かせいただけますか?


羽根田:はい。DeepTechの定義は厳密に語るところではないと思いますが、実はホンダが元々ターゲットとしていた領域がそれに極めて近いなと思っています。

本田技研 羽根田氏

実際世間での定義は色々言われていますが、我々の中では「長い研究期間を経て、今まさに社会実装をしようとしているもの」であり、そしてそれは「大学等の研究機関で長年研究されていたものがベンチャー化し、資金調達等を経てビジネスとして実装する」という形態をとります。 具体的には、ホンダが主催する事業モデルコンテスト「ホンダ・エクセラレーター・カタパルト」に参加した日本のスタートアップもほとんど大学発で、リアルテックファンドさんや先ほど出た丸さんのリバネスからの支援を受けながら我々も一緒にプロジェクトを行っているのですが、そういったスタートアップの属する業界だと捉えています。


松山:なるほど。ありがとうございます。では原さんはいかがですか?


:FinTechやAgriTechのように、「産業×テクノロジー」という言葉は想像がつきやすいのですが、DeepTechという言葉を初めて聞いた時は正直何のことかわかりませんでした。

原氏

その後、尾原さんや丸さんから話を伺った時に、私はアプローチ論に近い捉え方をしました。「社会課題を捉えて、それを解決していくもの。今ある技術を使って何かしていくというよりは、明確に直面している課題があってそれをどう技術で解決していくかというムーブメントのこと」だと私は考えています。つまり、最先端であろうが古い技術であろうが、何でも良くて、とにかく技術を使って課題を解決するんだというアプローチ論をこの本では語っています。


原氏

長年IT業界を担当してきた私は、2015年くらいに「上場ゴール」という言葉がよく叫ばれていた際、自分が追いかけてきた業界が責められているような気持ちになったのですが、当時スタートアップはピボットをどんどんしていくというのが一般的でした。しかしDeepTechのスタートアップは、使う技術はピボットするものの解決したい課題そのものはピボットさせない、というアプローチをとるというように私は感じています。


松山:なるほど。ではそんなDeepTech業界の面白さとは何でしょうか?


:私の感覚的には、ここ10年を遡るとVCやエンジェル投資家といったスタートアップエコシステムがかなり出来てきているなと感じています。しかしその分スタートアップがVCなどの出資者からプレッシャーを受ける状況にもなってきており、DeepTechはすぐにお金が回収できる領域ではないので、まずはそのことをVCとスタートアップの間で認識を合わせておかないといけません。DeepTechは花開くまでに長い期間が必要ですが、花開いた時のリターンが非常に大きく、そこに至るまでに関係者が課題解決のために伴走していくことはこれまでにない楽しさかなと考えています。


羽根田:私はDeepTechは大企業のスタートアップ協業の一つの最適解だと言いたいです。

羽根田氏

自動車や建築、金融など既存のレガシーな産業にテクノロジーで切り込んでいこうという流れの中で今DeepTechやオープンイノベーションなどの取り組みが生まれてきていると思いますが、原さんもおっしゃたように、DeepTechのスタートアップは課題を解決することのインパクトは大きいですがその分お金と時間がかかります。なので今後大企業がスタートアップと協業する場合、DeepTech領域のスタートアップに自分たちのレガシーな車なり建築なりのリソースを提供して協業すると一番インパクトが生まれやすく、面白い切り口かなと考えています。


松山:なるほど。二問目に行く前に会場から質問ありますか?



会場からの質問『投資をする上で魅力的なDeepTechとはどういうものでしょうか?』


羽根田:そうですね。具体的な例を挙げると、MELTIN MMIという生体信号を利用した医療機器やアバターロボットなどの研究開発を、それこそリアルテックファンドさんやリバネスさんの支援をうけながら行う電通大発スタートアップがありまして、ホンダとしても個人的にもすごく注目しています。ビジネスとしてはまだ時間はかかりそうですが、その先のインパクトが大きそうだという点でMELTIN MMIさんはとても魅力的です。また、先日CEATEC 2019ANAアバターが話題になりましたが、ああいったハプティクス(※1)、テレイグジスタンス(※2)という領域は特に注目しています。


※1...ハプティクス:利用者に力、振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得るテクノロジーのこと

※2...テレイグジスタンス:VRの一分野で、遠隔地にある物があたかも近くにあるかのように感じながら、操作などをリアルタイムに行う環境を構築するテクノロジーのこと




トピック2.『注目している技術やスタートアップは?』


松山:では2つ目の質問に参ります。先ほどの参加者の方からの質問と重なるところもありますが、こういう技術があればいいなというものなどあれば教えてください。


モデレーター 松山

:先程のVCの話と少し関係していて、私はメディアなのでVCとは立場が違うのですが、DeepTechの領域は面白いのですが判断がつきづらく、どこに張るのかとかどこを取り上げるのかという点が難しいなと個人的に感じています。

そういったことを踏まえながら、どんな課題を解決するのかという観点で私が注目しているのは、日本が他の国に比べていち早く直面する課題、それを解決することに繋がるテクノロジーです。例えば少子高齢化や労働力不足の問題などですね。この課題に今後日本以外の国も直面すると考えると、日本企業が海外に打って出る一つのソリューションになると思います。テクノロジーを探して海外に目を向けるのもいいと思いますが、国内で現在直面している課題に目を向けて、それを地道に解決していくことが大きなビジネスチャンスになるのではないかと個人的に考えています。

松山:最近だと台風の被害などもありましたね。


:そうですね。災害に対する課題解決というのは他の災害の多い国にとっても非常に大事なものになってくると思います。また、以前とある起業家と話していて、一時期中国で無人コンビニが爆発的に話題になりましたが、中国やインドなどはむしろ若者の雇用を生まなければならない状況にあり、本来労働力が減少していっている日本こそ取り組まないといけないと思いました。なので、同じ課題でも日本の方がより直面している分、実用化していこうという動きが真剣に働くのではないかと考えています。


羽根田:私は、技術面でいうと日本のスタートアップでも世界に出て戦えるレベルのケイパビリティがあると考えています。

原氏、羽根田氏

グローバルで通用しうる技術を持っているスタートアップとは是非弊社も協業したいと考えていますし、北米など大きなマーケットがあるところに一緒に展開していきたいです。先ほどMELTIN MMIさんの具体例を一つ上げましたが、他にも私が日本で応援しているスタートアップにアダコテックという会社があります。この会社は産総研特許技術をコアにしたオリジナルの検知ソフトウェアで、製造業の部品等の検品を非Deep Learningで正常データのみを学習して行う技術を持っています。検品は異常なデータを探すのが大変なので、正常なデータのみを学習させることで判断できるという点は大きな特徴です。この技術は今後日本に限らず、世界中の製造業の工場で使えると思っているので、これから期待していきたいです。


松山:なるほど。とても興味深いお話でした。それでは、そろそろお時間になりましたので、これにて終了とさせていただきます。

原さん、羽根田さん、本日はお忙しい中ご登壇いただき有難うございました!


(拍手)


次回のPitch Tokyoは11月26日にデジタルガレージ 本社にて「スマートシティ」をテーマに開催します。



チケットの購入はこちら | https://pt4smartcity2019.peatix.com/


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Aniwoのイベントから更なるイノベーションが創出されることを祈っている。


文章:伊藤

編集:本間

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