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イスラエル発!世界に広がるFinTech | Pitch Tokyo -Israel Edition- #1 (2019-20)

最終更新: 2019年9月26日




イスラエルのイノベーション最新動向をお伝えするAniwoの旗艦イベント、Pitch Tokyo。2019-2020シーズンの初回となる今回のテーマは、FinTech。今回は伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様の運営する共創スペース『Innovation Space DEJIMA』にて開催したイベントのパネルディスカッションの様子をお伝えする。


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近年、新聞やインターネットなど各種メディアを通して「FinTech」という言葉が登場する機会が増えており、金融に限らず多様な業界でフィンテックについて話題に上ることも多くなっている。

「FinTech」とは、金融を意味する「ファイナンス(Finance)」と、技術を意味する「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語である。

古くは、金融機関の保有する勘定系システムや営業店システムといった伝統的な情報システムについてフィンテックと称する例も見られたが、このところは用法に変化が認められ、概ね「ICTを駆使した革新的(innovative)、あるいは破壊的(disruptive)な金融商品・サービスの潮流」といったくらいの意味で利用されている。

※出典=富士通総研



イベントでは日本のFinTechを牽引する以下4名の有識者を招待し、パネルディスカッションを行った。


モデレーターはAniwo, Head of Japan 執行役員 事業開発担当 松山が務めた。

左から、岡部氏、上遠野氏、砂田氏、松田氏

トピック1. 『社内におけるセキュリティ対策は何か。また今後どのようなことを意識していくか。』


松山:まず一つ目の質問です。最近様々なインシデントが発生して世間を騒がせておりますが、データ管理の観点で社内におけるセキュリティー対策について、砂田さんからお聞かせ願えますか?


砂田氏:先日当社グループ企業のシステムに不正アクセスがありました。

スマホアプリからの不正アクセスであり防御が難しいケースでしたが、重要情報については参照できない仕組みになっていたので情報は守られていました。

砂田氏

このような不正アクセス等への対策として金融機関は、様々なセキュリティ対策を進めております。

例えば社内データの情報漏洩を検知・防御する仕組みを導入しており、また社内の不審な振舞いを検知する仕組みも検討中です。

セキュリティーを担当している立場としては、24時間モニタリングをしていても万全ではないと考えております。

常に新しいサイバー攻撃の手法が生まれるので、お客様の情報を守る我々も対応していく必要があります。


松山:なるほど。では、岡部さんはいかがお考えでしょうか?


岡部氏:私からはFinTech業界全体のインシデントについて話させていただきます。

一般的に金融業界はセキュリティーに関する意識が他の業界よりも高いのですが、その中でセブンペイとビットポイントのインシデントは記憶に新しいです。

岡部氏

セブンペイについては、サービスを1ヶ月で畳んでしまったことが想定外でした。個人的に、インシデントがあったとは言えサービスの提供を続けると思っていたので。

私はこの件から、企業にとって世間の目がかなり重要になっていると感じており、このインシデントに関しては金融業界ではやっていて当たり前である2段階認証をやっていなかったという点が特に問題となったと考えています。

そしてビットポイントの件に関連して思うのは、今一番狙われやすいのが仮想通貨の分野だということです。日本で仮想通貨が流出するのはこれで4度目なので、ビットポイントも仮想通貨取引所として対策をしているはずなのにインシデントが起こってしまいました。

しかし、ビットポイントは前の3件のインシデントを受けて、インターネットに繋がっていないウォレットで仮想通貨を管理しネットワーク上では資産の20%以下にするようにという自主規制がなされたため、被害が30億円相当に抑えることができたという点は進歩だと思います。

いずれの件も、もちろん犯人が当然責められるべきですが、ユーザーは事業者を信頼してお金を預けているので、銀行や事業者が被害者という考え方は難しいと思っています。


松山:確かにそうですね。インシデントについては、そもそも公表していない企業も多いのではないでしょうか?


上遠野氏、砂田氏

岡部氏:大手企業に関しては基本的に隠し通すことはできないので、ほとんどは公開していると思います。


砂田氏:金融機関は規制が厳しく、サイバーインシデントに関する報告はかなり慎重に対応しており、経営側の意識もかなり高まっております。


松山:そうなんですね。松田さんは前職のMRIの時にFinTech関連のアクセラレータープログラムなどを担当していたと伺っていますが、セキュリティー対策についてスタートアップ企業にアドバイス等していたということはあるのでしょうか?


松田氏

松田氏:特にアドバイスをするということはありませんでした。ただ、FinTech業界のスタートアップの特徴として、銀行と契約書等のやりとりが発生するので、そこで銀行と同程度のセキュリティーレベルを突きつけられるため、他業界のスタートアップに比べてもセキュリティへの意識がとても高いということがあります。


松山:なるほど。上遠野さんはセキュリティについてどのようにお考えでしょうか?


上遠野氏

上遠野氏:私はエンジニアではないので、社内のセキュリティー対策についての具体的な回答はできませんが、最近起こったリクナビの個人情報の無断販売に注目しています。

一般的にデータというと個人情報を扱っているのではないか、と指摘されがちかと思いますが、必ずしもそうではありません。

なので、個人情報保護法に遵守した形でデータを取り扱っているか以前に、そもそも何を個人情報と呼ぶのかという情報の整理を含めて、データの取り扱いは今後重要な課題だと感じています。


松山:確かに、データの取り扱いは今後のデータ社会においては重要課題ですね。


松田氏:そういえば、少し話が逸れますが、謝り方のコンサルを実施している企業があるという話を聞きました。企業で情報漏洩などが発生した際の謝罪の方法を教えてくれるそうです。


砂田氏:事前にシミュレーションしておく必要があり、広報対応訓練等も実施しております。



トピック2. 『金融機関の将来的なあり方はどうなっていくか。』


松山:参加者の方からの質問です。FinTech企業が新たなサービスを提供することで銀行等の従来の金融機関の将来的なあり方はどうなっていくと考えていますか?


岡部氏

岡部氏:これはすごくいい質問ですね。答えのない質問なので、私もずっと考えています。

まず、基本的にFinTech企業は設立当初から金融機関と協力することを前提にしているので、一方的に食われるという雰囲気ではありません。

そして金融機関がこれからやっていかなければならないことは、実際に成果を刈り取っていく作業だと考えています。

まだ実際に各金融機関が進めているFinTech事業の成果が出ていないので、事業としてインパクトを出していってほしいと考えています。

また様々な取り組みを見ていると、結果的に銀行とスタートアップが踏み込んだオープンイノベーションにならないことが多いです。なので、もっと互いに協力して一緒に事業を創出して欲しい思います。銀行側がそういったオープンイノベーションの流れを止めるということは自分たちのためにもするべきではありません。例えば、地銀は社内にシステム系の人材が少ないため、外部、この場合はスタートアップに知恵を求められなくなった場合、成長が止まってしまうでしょう。


上遠野氏

上遠野氏:正直、50年後の金融機関の姿の想像はつかないですが、将来的に顧客基盤を持っているところが強くなっていくと思っています。例えば中国を見ても、アリババのような顧客基盤を持っている企業がFinTech業界に進出して、新たなサービスを始めています。


砂田氏:ユーザーインターフェースの部分が新しい技術で進化したとしても、金融機関の資金決済の基盤システムそのものが大きく変わるということは難しいと考えています。

金融システムは過去の障害や不正取引を背景にリスクコントロールの考え方に基づいて構築されており、新しい金融サービスを提供する場合には万が一不正利用等された場合の補償等についても考慮する必要があります。


例えば送金取引におけるシステムによる「自動再送処理」には多重振り込みのリスクがあり、必ず人が確認してから再送処理を行う事務になっております。

この様なリスク対策を考慮した上でサービスを展開していけるのであれば問題ないと思います。


松山:なるほど。では最後に、松田さんのお考えをお聞かせいただけますか?


松田氏

松田氏:お金の安心安全を守る組織としての金融機関は残ると思います。

一方で金融機関の内部にいる人材の質というのは変わっているのではないかと思います。これまでの金融機関の社員に求められる要素と、これから必要な人材は大きく違ってきます。

また、海外の金融機関と比べて日本では内部で開発をせずITベンダーに委託しているので、ITベンダーの負担になっている点は気になります。


松山:なるほど、とても興味深いお話でした。それでは、そろそろお時間になりましたので、これにて終了とさせていただきます。

岡部さん、上遠野さん、砂田さん、松田さん、本日はお忙しい中ご登壇いただき有難うございました!


(拍手)




次回のPitch Tokyoは9月30日にAgVenture Labにて「AgriTech」をテーマに開催します。


チケットの購入はこちら | https://pt2agritech2019.peatix.com/


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Aniwoのイベントから更なるイノベーションが創出されることを祈っている。


文責/編集:本間

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